2月にウィーンから来日したヴァイオリニストのクリストフ・エーレンフェルナー氏と会食していろいろな刺激を受けた。
35歳の彼は作曲も行い、指揮も執る多才なヴァイオリニストだ。
ザルツブルクに生まれ、ウィーン少年合唱団に入団するなど、幼少のころから音楽と関わってきた。
彼は言う、
音楽は「ギフト=贈り物」である。
音楽家に才能があるとすればそれすらも天からの贈り物である。
それは幸運にも与えられたものなので自己を通して人々に捧げなければならない。
演奏とは本来そうあるべきだと感じている。
もし、営利を目的にしてしまったら、その贈り物を継続して受け取ることができなくなってしまう性質のものだ。
身体の中にあるミュトスとロゴスの関係のように、音楽はミュトス(=空想)が司っている。無私で捧げるものが本来の音楽である。
また、世の中の、目に見えるものがいかに内面に影響しているかを感じる必要がある。
建築物などは顕著な例である。
攻撃的な形状を持つ建築物もあれば、心が癒されるような空間がある。人間は見るもの、感じるものに内面が大きく影響されている。
美しいものを観る、素晴らしい音楽を聴くことは心の内面の浄化に繋がる。
観ること、聞くことは機械によって視聴は可能である。しかし、現場でこそ伝わるものがある。コンサートは五感を総動員して感じる体験だからである。
・・・と音楽について語ってくれた。
今回彼はチェロのアダルベルト・スコチッチ氏(元ウィーンフィル主席チェリスト)、ヴィオラのヘルベルト・ミュラー氏(現ウィーン交響楽団員)と来日しトリオの演奏を披露してくれた。
これからの活躍が期待できる素晴らしい方だ。