2008年4月25日金曜日

格安航空会社の動向(転載)

(出典 トラベルビジョン)
OAGは全世界の航空に関する情報を幅広く提供している。

環境が大きく変化している中での格安航空会社の動向。▽全世界でのLCCの動向 2001年1月の全世界における旅客便座席数は、OAGデータによると2億4852万6706席。2001年の9.11事件を受け、2002年1月には減少したが、2003年1月に増加に転じ、2007年1月には2億8050万3286席となっている。これは2001年1月比で12.9%増、2001年から最低の供給量である2002年1月比は22.8%増だ。 供給量の増加のうち、格安航空会社(LCC)が半数以上を占めている。2002年1月から2007年1月にかけ、全世界の旅客便座席数の増加分は5216万1354席で、このうちLCCのシェアは56.7%にのぼる。全世界で、爆発的に旅行需要が増加している牽引役はLCCが果たしている、ともいえるだろう。 

ただ、この数ヶ月の動向では、原油価格の高騰により、航空会社は厳しい経営環境にさらされており、LCCの倒産が報道されている。アジアではオアシス・ホンコン航空(O8)が4月9日から運航を停止、また、ハワイにも就航するATA航空も運航停止した。ハワイについては、ATA航空とアロハ航空の運航停止で、アメリカ本土から年間100万席の供給座席数が減少するとも推計されている。 一方、最近の大きなニュースであったデルタ航空(DL)とノースウエスト航空(NW)の合併にも、アメリカ国内のLCCのシェアがアメリカ国内線の3分の1にまで成長したことも要因の1つとされている。また、アジアではカンタス航空グループのジェットスター(JQ)が「ジェットスター・パシフィック」をベトナムに設立したほか、全日空(NH)もLCC参入の意欲を示すなど、原油価格が厳しい中でも、LCCのさらなる成長を予見する動きもある。

▽欧州の1都市でのインパクトを見る-ハンブルクでのLCC拡大 LCCの増加を視覚的に捉える良い資料がある。ドイツ北部で、中世のハンザ同盟で構成したハンブルグは、ルフトハンザドイツ航空の整備、エアバス社の航空産業をはじめ、医療、バイオなどでも多くの企業が集積しており、ビジネス需要は活発。レジャー需要でも、サッカーの高原選手が在籍したハンブルガーSVを代表とするスポーツ、そしてオペラをはじめ、芸術や文化も盛んだ。 ハンブルグに就航するLCCは2003年では、ロンドン、ボン、チューリッヒ、ニース、ミュンヘン、ローマ、ウィーン、リーガ、タリンの9都市を結んでいたが、2007年には60都市超と、4年間で6倍以上の規模で就航地が拡大している。旅客数も2002年は883万6352人で、このうちLCC利用客は40万5806人であったが、2006年は1189万6268人、うちLCCは285万4053人。全体の航空利用者の増加率は2002年から2006年にかけて34.6%増であるが、LCCに限ると8倍となり、大きなインパクトを持っている

2008年4月15日火曜日

デルタ航空とノースウエストが合併(転載)

(出典 トラベルビジョン)
デルタ航空とノースウエストが合併を発表 存続会社はデルタ、世界最大の航空会社に

 デルタ航空(DAL)とノースウエスト航空(NWA)は4月15日、正式に合併す ると発 表した。存続会社はデルタ航空(Delta)で、NWAの株主はNWA株1株当た りDAL株 1.25株を受け取り、全額株式総額は177億米ドル。経営規模で世界で 3位のDALと6位 のNWAが合併することで、世界最大規模の航空会社が誕生する。

米国内線と国際線の 競争は一層激しくなり、他の大手航空会社の再編に波及す る可能性は十分にある。 DALとNWAの合併は、両社の株主の承認と規制当局による認可が前提条件にな る。 規制当局による監査期間は今年後半に完了する見込み。認可が下りるまで は、両社 グループの運航計画、マイレージプログラム、顧客サービス、組織構 成は変わらない。 

デルタ航空のリチャード・アンダーソンCEOが、合併後の新会社のCEOに就任 する。また、同社のエド・バスティアン社長兼最高財務責任者(CFO)が新会 社の社長 兼CFOにそのまま就任する。 新会社の「新デルタ航空」は、海外はパリ、アムステルダム、ロンドン、東京、 米国内はアトランタ、ミネアポリス/セントポール、ニューヨークに拠点 を置き、 本社はアトランタになる。 DALのアンダーソンCEOは、「DALとNWAの合併は完璧な組み合わせ。引き算で はな く足し算の合併であり、あらゆる都市を網羅する路線網を実現し、顧客と 従業員の ために投資を行い、競争が激しさを増す世界市場で成長して世界をリ ードする航空 会社を作り出す」と述べた。

 また、NWAのダグラス・スティーンランドCEOは、「新会社は米国、中南米、 欧 州、アジアにまたがる多様な路線を持つ。路線に適した航空機の投入が容易 で、輸 送効率が改善される」と述べた。 両社の合併後は、提携する会社を合わせると、67カ国・390都市へのアクセ スが 提供される。両社の年間売上高の合計は350億ドルに達し、主要路線を運 航する航空 機は約800機、従業員は7万5000名となる。

2008年4月8日火曜日

三菱重工業のMRJプロジェクト

MRJは日本の航空機メーカー・三菱重工業が開発している小型旅客機である。
名称は三菱リージョナルジェット (Mitsubishi Regional Jet) の略で、2007年2月に決定した。経済産業省の推進する事業の一つであり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) が提案した環境適応型高性能小型航空機計画により、国の助成を受けて開発される。日本が独自の旅客機を開発するのはYS-11以来40年ぶりである。

・・・・・・以下日経新聞メルマガより転載・・・・・・・・
「悲願の『国産機』計画が始動」------------------------------------------------------------
三菱重工業が小型ジェット機「MRJ」の開発を正式決定しました。第1号の顧客は全日本空輸。プロペラ機の「YS-11」以来となる本格的な国産旅客機が5年後にお目見えします。

日本の重工各社と米欧の旅客機メーカーの関係を自動車に例えるなら、米ボーイングや欧州エアバスが完成車メーカーで、重工各社は部品メーカー。日本勢にとって、新しい機体の開発プロジェクトを自ら率いることは悲願でもありました。技術力は世界に認められています。日本勢は米ボーイングに主翼や胴体など構造上、重要な部材を納入しており、日本勢の参加なくしては、「B777」「B787」などのベストセラー機は開発できませんでした。重工各社は社用機などとして使われる小型機「ビジネスジェット」の開発でも海外メーカーに協力してきました。

ただし、MRJがどれほど売れるか、現段階で見通すのは難しいようです。国産機計画がまだ構想の段階で、米国の大手航空会社の調達担当役員に質問したことがあります。「日本勢が開発したら買いますか」。答えはこうでした。「日本は第2次大戦で米軍を悩ませた『零戦』を開発した実績もある。優れた機体になるだろう。だが当社が真っ先に買うことはない」。購入に消極的なのは、「アフタサービスのネットワークを築くには何年もかかる。きちんとできるか確かめてからでいい」と考えるからでした。この役員は「自前主義にこだわらず、ボーイングにOEM(相手先ブランドによる生産)供給して、ボーイングの責任で売ってもらった方が、事業としては成功するぞ」と指摘していました。こうした販売面に限らず、「MRJ」には数々のハードルが待ち受けています。分野は異なりますが、ホンダも航空機事業に乗り出しました。2010年から自社開発のビジネスジェットの納入を始めます。巨額の開発費用がかかる航空機事業は日本の国内市場だけを相手にしていては成り立ちません。北米や、アジアの新興国などの需要を取り込むことが欠かせません。日本の製造業は遅れて始めた自動車でついに世界をリードする立場に上り詰めました。果たして、航空機でも一泡ふかせることができるでしょうか。(浩)