2008年10月31日金曜日

IATA運賃の「規則」重要−独禁法適用除外見直し(出典トラベルビジョン)

 IATA運賃の「規則」重要−独禁法適用除外見直しで日系2社、政策的観点にも言及
国土交通省航空局が10月30日に開催した、第2回「国際航空に関する独占禁止法適用除外制度のあり方に関する懇談会」で、日本航空(JL)と全日空(NH)は、すべての協定について適用除外が必要との認識ではないが、見直しには利用者利便、対等な競争条件の確保を前提とし、さらには国際競争力の政策的観点から検討すべきであると意見を述べた。8月に開催された第1回の懇談会で制度の現状と課題を整理しており、今回はJL、NH、日本貨物航空(NAC)の3社からヒアリングを実施した。
 このなかで対等な競争条件の確保について、日本では外資規制や2国間協定があることですでに完全な自由競争の条件でないこと、さらに自由化が進む欧米と保守的な規制が残るアジア諸国との差があり、日本が双方を相手に競争をする必要があることを指摘し、慎重な検討を求めた。例えばアメリカはオープンスカイとセットで反トラスト法適用除外(ATI)を容認する方針にあり、韓国とはATIが認められていることに触れ、国益を観点にした独禁法適用除外制度を運用する必要性を言及した。

 また、個別協定については、IATA運賃協定は依然として連絡運輸が焦点となり、「あくまでもツールとして重要」(NH執行役員企画室長岡田晃氏)、「制度に効果がある」(JL取締役平田邦夫氏)など、付随する条件や規則が旅客の利便性、さらに円滑な事業運営を維持する上での必要性を強調した。

 一方、事業者間協定のうちアライアンス協定は、論点に違いがあった。例えば、NHはアライアンスによる直行便数や輸送力増加による乗り継ぎ機会の増加、運賃低下という効果を説明。さらにルフトハンザドイツ航空(LH)とユナイテッド航空(LH)の提携ではスケジュールや座席調整、収入配分を含めた広範な包括的協定を進めていることを紹介し、国際航空市場における新たな動きへの対応が可能な適用除外制度の活用を訴えた。対してJLは最短乗継時間(MCT)が以前は空港単位であったが、現在はアライアンス単位になり、乗り継ぎや発券などの利便性が低下している側面を指摘し、包括的に適用除外とするのではなく、個別項目で判断すべきとの意見だ。

 なお、NCAは貨物については欧州、米国、豪州でIATA運賃協定の競争法適用除外が廃止されており、「相手国のルールも遵守する必要があり、グローバルな視点で考える必要がある」として、航空貨物運賃協定に限り不要としている。


▽フレックスフェアの運用状況

 IATA運賃協定が適用除外になる場合、代替サービスが必要という意見があり、現行のフレックスフェアに対する各社の評価も求められた。これにあわせ国交省のフレックスフェアの運賃水準の調査によると、欧州域内では平均運賃にプレミアム運賃が加算されることで値上がりする路線が多く、バルセロナ/パリ線では37%増、フランクフルト/ロンドン線では33%増となっている。また、欧州/アジア路線、豪州/欧米路線も概ね上昇。一方、プレミアム運賃の加算がない欧州/米国路線では、ニューヨーク/パリ線の2%増をのぞき、減少している路線が多い。例えば、シカゴ/ロンドン間は24%減、サンフランシスコ/ロンドン間は19%減など。航空会社からは「キャリア運賃に基づき機械的に計算された運賃で、参入、退出の自由度もある有益な運賃設定の枠組み」(NH)とする一方、「共通運賃を利用することが拘束的で反競争的という見解もあり、適用除外とする必要がある」(NH)や、「課題が以前多く、直ちに代替として評価できる段階はない。特にアジアの多様性を考えると拙速な導入は望ましくない」(JL)と述べた。

2008年10月30日木曜日

ワルソー条約(出典Wikipedia)

<Eチケットの最下部に記載されているワルソー条約について>

ワルソー条約
(ワルソーじょうやく)は国際的な航空貨物、旅客の運送に関する、航空運送人の責任や航空運送状の記載事項等を定める条約である。正式名称は国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(英: Convention for the Unification of Certain Rules Relating to International Carriage by Air, 仏: Convention pour l'unification de certaines règles relatives au Transport aérien international)[1]。日本は1953年に批准した。

概要

本条約は、出発地および到着地の双方が当事国である国際航空運送に適用される(第1条第2項)[2]。責任原則としては過失推定主義を採用し、損害賠償責任の限度額を定めている。

国際裁判管轄を定める条約で日本の締結しているものは数少ないが、本条約はその一つであり、第28条第1項は「責任に関する訴は、原告の選択により、いずれか一の締約国の領域において、運送人の住所地、運送人の主たる営業所の所在地若しくは運送人が契約を締結した営業所の所在地の裁判所又は到達地の裁判所のいずれかに提起しなければならない」と定めている。

]課題

本条約では航空運送人の損害賠償額の制限を定めているが、その制限額が旅客の死亡時でも12万5千金フラン=約140万円(ヘーグ議定書により25万金フラン=約280万円に改定)にとどまるなど、署名当時からの経済情勢の変化に対応できていない[3]。また、貨物に関する損害賠償額の上限は1キログラム当たり250金フランであるが、運送人に「wilful misconductまたは法廷地の法においてそれと同視されるdefault」[4]がある場合には上限が適用されないため、当該事由の有無をめぐって争いになることも多かった[5]。これらの課題を解決するためモントリオール条約が作成され発効に至ったが、ワルソー条約の当事国中にはモントリオール条約を締結していない国も存在し、そのような国を出発地または到着地とする運送については引き続きワルソー条約が適用されている。