2008年12月11日木曜日

ITCチャータールールの規制緩和要望(要約)

(1)海外旅行市場の環境変化により、FIT志向が強まるなか、柔軟な販 売に 対応できるようにするため、全空港を発着するチャーター便の個札販売を可能とす るとともに、その販売を旅行会社も取り扱うことが出来るようにすること。

昨年9月のITCチャータールール緩和で、羽田-金浦、羽田-虹 橋チ ャーター便と同様に、羽田の深夜早朝・特定時間帯チャーターについて も、総座席 数の50%未満まで航空会社による座席のみの個札売りが認められ た。

(2)第三国の航空会社を利用したチャーター便の運航について、申請に係る負担を軽減し、地方における旅行需要喚起に対してより柔軟に対応出来るように、本邦航空会社による事前の承諾を得ることを不必要とする。

(3)成田空港において、繁忙期を含め柔軟に需要に応えられるよう、 発着枠さえ確保できれば、定期便が就航している路線においてチャーター便の運航が出 来るようにする。

成田については、オンラインチャーターが認められておらず、以前より繁忙 期等 にオントップでチャーター便を運航できるようにすることで、需要ニーズ に応えら れるようにしてほしいとの声が挙がっていた。既に昨年9月のITCチャ ーター規制緩 和で、関空発着のオンラインITCチャーターについては、従来の 年間51便(片道ベー ス)という規定が撤廃され、オンラインチャーターについ ても自由化が実現してい る。成田についても、発着枠確保を前提に、オンライ ンチャーターを運航できるよ う規制緩和を求めた。

★“商慣習”と“約款”の両面で課題整理へ(ウィングトラベル転載)

★“商慣習”と“約款”の両面で課題整理へ
 観光庁、海外旅行の仕入環境激化で、対応検討

 観光庁観光産業課は、海外旅行商品の仕入環境激化に伴い、旅行会社とビジ ネス パートナー間の商慣習のあり方や、旅行業約款にかかる課題などを整理す るため、 「魅力ある海外旅行商品の創出のための環境整備に関する意見交換 会」を開催する ことを決めた。12月11日に第1回、1月20日に第2回を行い、2月 下旬を目途に論点整 理を行う。
 これは昨今、仕入のグローバルスタンダード化を受けて、日本の旅行業者に よる 海外での旅行素材の仕入環境が厳しくなってきているとの声が強まってい ることか ら、課題の整理を行うもの。
 一つには、海外ホテル仕入でデポジットの支払いが求められるなど、いわば 一部 前払いによる仕入が必要になってきていることがあり、旅行業者自らが商 慣習を変 えていかなければならない問題がある。そのためには、支払いの前払 い化に伴う資 金繰りの問題などが課題となる。
 その一方で、グローバルスタンダードへの対応を図る上で、旅行業約款の取 消料 規定や、旅程保証などがネックとなっており、これら規定を見直すべき、 との意見 も業界内には根強くある。例えば、取消料が出発30日前(ピーク時の 40日前)から しか取れないため、デポジットの支払いはリスクが高いとの意見 や、旅程保証規定 は海外サプライヤーに理解されず、ランドオペレーターが内 部求償せざるを得ない のが実態、などの意見が以前より出されている。
 このため、観光産業課では、まずは前提として、仕入環境のグローバルスタ ン ダード化が実際にどういった変化を現場にもたらしているのか、現状を把握 するこ とが必要と指摘。また、その問題を解決するために、旅行会社とビジネ スパート ナー間の商慣習をどう見直すべきなのか、約款の見直しが本当に必要 なのかを含め て、課題の整理を行いたい考えを示している。
 したがって、「意見交換会」のメンバーには、旅行関連企業・団体から、仕 入環 境等にくわしい実務系担当者と、約款など法律にくわしい法律系担当者の 両方が参 画し、まずは課題の洗い出しと論点整理を行う考えだ。この結果、仮 に約款改正等 が必要になる場合には、別途懇談会等を設置して検討することに なる見通しだ。
 意見交換会のメンバーは以下の通り。
▼井上嘉世子 全米旅行産業協会(TIA)日本代表
▼小川清隆 阪急交通社取締役執行役員
▼荻野雅史 在日航空会社代表者協議会(BOAR)事務局長
▼奥山隆哉 日本旅行業協会(JATA)事務局長
▼金子博人 弁護士(国際旅行業法学会理事)
▼加納國雄 在日外国観光局協議会(ANTOR)会長
▼鎌木伸一 JTB法務室長
▼楠原成基 エイチ・アイ・エス常務取締役
▼古木康太郎 グローバルユースビューロー会長
▼澤邊宏 JATA VWC2000万人推進室長
▼速水邦勝 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)専務理事
▼フランソワ・ロカ クオニイジャパン社長
▼松尾茂 海外ホテル協会(OHEA)会長
▼三橋滋子 日本添乗サービス協会専務理事
▼神谷俊広 観光庁次長
▼加藤隆司 観光庁観光産業課長

JATA、ゼロ・コミッション再考をJAL・ANAに要求(ウィングトラベル転載)

★JATA、ゼロ・コミッション再考をJAL・ANAに要求
 航空会社大勢は4月導入、条件闘争への布石か

 日本旅行業協会(JATA)は12月8日、旅行会社への国際線発券手数料廃止 (ゼロ・ コミッション)を決めた日本航空(JAL)と全日空(ANA)に対して、 再考の申し入 れを文書で求めた。文書では、今回の措置は「国民の観光旅行の 振興に水を差し、 旅行会社に著しく不利な取引を一方的に強要し、とくに中小 旅行業者の経営を危う くさせる」としてJATAは導入に反対し、JAL、ANAに対し て再考を求めた。
 文書は佐々木隆JATA副会長・海外旅行委員長名で、斉藤俊一JALインターナ ショ ナル常務・旅客営業本部長、伊東信一郎ANA営業推進本部長宛てに提出し た。
 JATAはJALがゼロ・コミッション導入を決めた10月末にアンケート調査を会 員に 対して実施し、コミッションについて「航空会社は日本市場の特殊性から 旅行会社 の存在を再認識し、発券手数料ではなく、旅行会社への販売委託料と 捉え、航空会 社の必要経費と考えるべき」との反対意見が出された。とくに日 本市場では、国際 航空券の流通量全体の7~8割は旅行会社を通じて行われてい るとされ、発券手数料 というより販売委託料としての意味合いが強いとして、 相応の対価を支払うべきと の意見が根強くある。
 今回のゼロ・コミッション導入についての再考依頼もこうしたことが背景に ある とみられる。しかし、ゼロ・コミッションについては米系航空会社が先導 し、ノー スウエスト航空とアメリカン航空は10月から既に実施、来年1月1日か らエールフラ ンス航空/KLM航空が導入に踏み切る。来年4月1日からはJAL、 ANAをはじめユナイテ ッド航空、コンチネンタル航空、デルタ航空が導入を表 明、加えて、欧州・アジア のネットワークキャリアの中には旅行会社にゼロ・ コミッションの導入を打診して いるところもあり、日本に乗り入れている大手 航空会社の4月1日実施で大勢は決し た感がある。
 したがって、まずはゼロ・コミッション導入を反対し、その後は航空会社が ゼ ロ・コミッションを導入する条件として、これまで旅行会社が負担を強いら れてい た部分をこの際一挙に撤廃し、対等な競争条件を確保する条件闘争へ移 行するもの と見られる。
 既に挙がっている意見としては、「航空会社が直販する場合も顧客から販売 手数 料を徴収」、「ウェブ割引運賃の廃止」「BSPのNET精算への移行」、「現 行のリフ ァンド手数料、リブック手数料、ADM/ACM手数料などの廃止」、「燃 油サーチャージ の旅行会社代理徴収を止め航空会社が旅客から直接徴収」、 「旅行会社が負担する CRS各社の予約端末、備品使用経費等の軽減」などで、 JATAとしては今後、これらを 実現させる方向に向かうと見られる。
 JATAがJAL、ANAにゼロ・コミッション制度の導入を再考依頼した文書内容は 以下 の通り。
 (1)これまで旅行業界と航空業界は相互の協力により航空券販売窓口を拡 充す る等航空機利用者の利便の増進に大きく寄与してきたが、今回の措置はこ れを阻害 するものであり、観光立国推進基本法の制定並びに観光庁の設置によ り政府が進め ようとしている国民の観光旅行の振興にも水を差すものであるこ と。
 (2)旅行業者は、IATA代理店制度を通じて、自らの費用をもって航空券の 販売 を行い、航空運送事業者発展のために貢献してきたが、ゼロ・コミッショ ン制度の 導入はこれら費用を全て旅行業者に負担させようとするものであり、 これは貴社の 優位性を背景に旅行業者に著しく不利な取引を一方的に強要する ものであること。
 (3)また、貴社が大口取引先に対する販売報奨金の支払い制度を採用した とし ても、同報奨金等の支払制度のメリットを受けられない中小旅行業者の経 営を危殆 に瀕せしめるものであること。
 以上の理由から、その導入に反対であり、貴社の再考を求めるものである。