2008年12月11日木曜日

JATA、ゼロ・コミッション再考をJAL・ANAに要求(ウィングトラベル転載)

★JATA、ゼロ・コミッション再考をJAL・ANAに要求
 航空会社大勢は4月導入、条件闘争への布石か

 日本旅行業協会(JATA)は12月8日、旅行会社への国際線発券手数料廃止 (ゼロ・ コミッション)を決めた日本航空(JAL)と全日空(ANA)に対して、 再考の申し入 れを文書で求めた。文書では、今回の措置は「国民の観光旅行の 振興に水を差し、 旅行会社に著しく不利な取引を一方的に強要し、とくに中小 旅行業者の経営を危う くさせる」としてJATAは導入に反対し、JAL、ANAに対し て再考を求めた。
 文書は佐々木隆JATA副会長・海外旅行委員長名で、斉藤俊一JALインターナ ショ ナル常務・旅客営業本部長、伊東信一郎ANA営業推進本部長宛てに提出し た。
 JATAはJALがゼロ・コミッション導入を決めた10月末にアンケート調査を会 員に 対して実施し、コミッションについて「航空会社は日本市場の特殊性から 旅行会社 の存在を再認識し、発券手数料ではなく、旅行会社への販売委託料と 捉え、航空会 社の必要経費と考えるべき」との反対意見が出された。とくに日 本市場では、国際 航空券の流通量全体の7~8割は旅行会社を通じて行われてい るとされ、発券手数料 というより販売委託料としての意味合いが強いとして、 相応の対価を支払うべきと の意見が根強くある。
 今回のゼロ・コミッション導入についての再考依頼もこうしたことが背景に ある とみられる。しかし、ゼロ・コミッションについては米系航空会社が先導 し、ノー スウエスト航空とアメリカン航空は10月から既に実施、来年1月1日か らエールフラ ンス航空/KLM航空が導入に踏み切る。来年4月1日からはJAL、 ANAをはじめユナイテ ッド航空、コンチネンタル航空、デルタ航空が導入を表 明、加えて、欧州・アジア のネットワークキャリアの中には旅行会社にゼロ・ コミッションの導入を打診して いるところもあり、日本に乗り入れている大手 航空会社の4月1日実施で大勢は決し た感がある。
 したがって、まずはゼロ・コミッション導入を反対し、その後は航空会社が ゼ ロ・コミッションを導入する条件として、これまで旅行会社が負担を強いら れてい た部分をこの際一挙に撤廃し、対等な競争条件を確保する条件闘争へ移 行するもの と見られる。
 既に挙がっている意見としては、「航空会社が直販する場合も顧客から販売 手数 料を徴収」、「ウェブ割引運賃の廃止」「BSPのNET精算への移行」、「現 行のリフ ァンド手数料、リブック手数料、ADM/ACM手数料などの廃止」、「燃 油サーチャージ の旅行会社代理徴収を止め航空会社が旅客から直接徴収」、 「旅行会社が負担する CRS各社の予約端末、備品使用経費等の軽減」などで、 JATAとしては今後、これらを 実現させる方向に向かうと見られる。
 JATAがJAL、ANAにゼロ・コミッション制度の導入を再考依頼した文書内容は 以下 の通り。
 (1)これまで旅行業界と航空業界は相互の協力により航空券販売窓口を拡 充す る等航空機利用者の利便の増進に大きく寄与してきたが、今回の措置はこ れを阻害 するものであり、観光立国推進基本法の制定並びに観光庁の設置によ り政府が進め ようとしている国民の観光旅行の振興にも水を差すものであるこ と。
 (2)旅行業者は、IATA代理店制度を通じて、自らの費用をもって航空券の 販売 を行い、航空運送事業者発展のために貢献してきたが、ゼロ・コミッショ ン制度の 導入はこれら費用を全て旅行業者に負担させようとするものであり、 これは貴社の 優位性を背景に旅行業者に著しく不利な取引を一方的に強要する ものであること。
 (3)また、貴社が大口取引先に対する販売報奨金の支払い制度を採用した とし ても、同報奨金等の支払制度のメリットを受けられない中小旅行業者の経 営を危殆 に瀕せしめるものであること。
 以上の理由から、その導入に反対であり、貴社の再考を求めるものである。

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