2008年2月29日金曜日

「HSHプリンス・アルベール2世号」

シルバーシー、新探検船を「HSHプリンス・アルベール2世号」と命名

 シルバーシー・クルーズは2月26日、現在リニューアル中のエクスペディション・シップ(探検船)をモナコ公国元首のアルベール2世にちなみ、「HSH(His Serene Highness)プリンス・アルベール2世号」と命名すると決定した。

リニューアルは、シルバーシーのサービスの質を保証するため、全ゲストルームとパブリックスペースをグレードアップし、外観デザインの変更や最新テクノロジーを導入している。

モンテカルロでの命名式後は、6月12日にロンドンを出港し、10日間から21日間の北極の冒険クルーズを実施。8月半ばからは北米東海岸からパナマ運河を通ってロサンゼルスを巡り、南下してウシュアイアに向かう。途中、ガラパゴス島やフォークランド諸島へのクルーズも設定する。

JATA経営フォーラム2008分科会A「必ず来る航空革命」

2010年の羽田、成田の首都圏空港の発着枠の増加にともなう供給座席の増加が見込まれるなか、航空会社と旅行会社が互いにリスクをシェアする時代になるとの考え方が示された。


阪急交通社東日本営業本部仕入部部長の木村貞則氏は、IT運賃は残るのではないかという私見を示しつつ、「今後、2、3年でIT運賃では年間の買取、または半年、日毎の買取という形態も現れてくる」との可能性を示した。

また、ANAセールス取締役会長の北林克比古氏は、航空会社同士の競争が激化するのがオープンスカイの時代とし、航空会社が旅行会社に提供するアロットについて「未使用の座席を(旅行会社は)ノーリスクで返還する。これを(航空会社が)負担することがだんだん難しくなってくる。旅行会社と航空会社が、(リスクを)シェアするものになる」との予想を示した。

日本航空インターナショナル執行役員の山口栄一氏は、今後の路線展開について日本企業の生産拠点が海外に移りつつある動きにあわせ、路線を張るとの考えを示しつつ、「昨年末からのデリー線をデイリー運航に増便した。ビジネス需要もあるが、インドの観光需要はこれから。ここは(旅行会社に)取り組んでいただきたいし、一緒にやっていきたい」とし、協調を求める。 

また、ノースウエスト航空日本地区営業本部長の伊藤正彰氏は「(消費者の)ニーズ多様化する中、各種のルールが現在の消費動向と一致していない。ピーク時に二重三重の予約があり、座席が有効に活用されていない。JATAなどで制度の見直しも視野にいれ、確実に(需要を)取り込める環境をつくるべき」などと語り、旅行会社と航空会社が二人三脚で取り組む課題もあると指摘した。

阪急・木村氏は、「空港容量が125%でも機材が777、 787化で85>%、供給量は100%前後、2010年の2000万人はきつい」とする中で、 「航空会社が決めた運賃を(旅行会社が)もらう形になり、料金も多様化す る」とし、旅行会社としては「企画力、個人営業力で価値競争に進むのではな いか」と述べた。

JAL山口氏は「日本企業が販売拠点を海外に移行する中で、路線はBRICsが増 え、ベトナム、中東なども注目される。業務需要が先で観光が後から着いてく ることを考えると、デリー路線などの観光需要を(旅行会社と)一緒に取り組 みたい。観光だけの路線は採算が取れない」と述べた。

 また、山口氏は航空会社の直販化について、「国内は個札の40%、全体の 30%が>直販、BtoCは世の中の流れだが、国際はビザや乗り継ぎなどもあり、こ こは旅行会社にやってもらいたい」と述べた。

ANAS北林氏は「座席アロットで未使用の座席を(旅行会社が)ノーリスクで 返還することは、キャリアはリスク負担から今後は難しい」と述べ、旅行会社 と航空会社がリスク・シェアする仕組み作りの必要性を指摘した。

 阪急・木村氏はITのリスク・シェアについて、「年間、半年、デイリーの買 い取りなどでIT座席を残せるだろうが、PEXは直販で販売される。メーカーと 商社の関係>が考えれば、メーカー(航空会社)が決めた以上、(旅行会社は) 従うしかない。>IT座席をどのように買い取り、企画力で売り抜けるか。リピー ターを獲得すれば勝>ち抜ける。そこで(旅行会社が)淘汰される」と予測し た。

その上で木村氏は「価格だけで勝負する時代は終わった。(航空会社も)数 のインセンティブをやめることだ」と述べた。

JATA経営フォーラム2008/マネジメントセッション

藻谷浩介日本政策投資銀行地域振興部参事役の講演は刺激的だった。

「1996年をきっかけに大きな構造変化が起こっている
----アジア向けの輸出が激増し、昨年の輸出額が史上最高に達した一方で、日本国内の小売り販売は1997年以降、減り続けている。---」

藻谷氏は、「景気」の数値の取り方が実態を惑わしていると説明した。

輸出絶好調を理由に『好景気』と言われ、米サブプライム問題を理由に好景気ではない雰囲気になってきたなどと言われるが、「実態は何も変わっていない」と指摘。現に、昨年の輸出額は過去最高、イタリア ・フランス製品の輸入も10年連続で増加している一方で、トヨタは日本国内の 販売台数が3年連続で減少、国内小売り販売は1997年以降減り続けているとし て、「景気という平均をとることは意味がない。空気を読むのではなく、数字を読むべき」と実態を正確に見極める必要性を強調した。

このうち、イタリア・フランス製品の輸入が10年連続で増加している背景には、「一点豪華主義が増えている。ブランド衣料品や食品は引き続き好調」として、日本人の購買行動の変化を指摘。国内販売台数が伸び悩むトヨタでも、 高級車の販売拡大による単価増を図っていると説明した。

また、訪日外国人旅行者の増加や特許料収入の減少を背景に、サービス収支の赤字は年々減っているとし、「遠からずサービス黒字に転じるだろう」と見通した。とくに、旅行収支が赤字なのは日本とドイツだけとして、「本来、中国や韓国と同様に、旅行黒字になってもおかしくない」との見方を示した。

また、リッチなアジア人が急増しており、「アジアが豊かになればなるほど、日本の良いモノが高く売れる」としたが、現状では観光産業が対応しきれていないと指摘。加えて、急成長する中国については、「世界中で日本にしかないビジネスチャンス」との見解を示した。一方、国内小売り販売の低迷については、「バブル崩壊後の失われた10年などと言われるが、実際にはバブル崩壊後も国内小売り販売は落ちておらず、所得も下がっていない」として、1996年をきっかけに大きな構造変化が起こり、 1997年以降小売り販売が減少に転じたと指摘した。

その要因として、藻谷氏は、日本の人口構成の変化を挙げ、「20~59才のモノを買う世代の人口が減っている」ことを指摘した。2000年と2005年の人口増減をみると、首都圏一都三県の場合、人口は106万人増加したが、年代別内訳 をみると、20~59才が32万人減少、0~19才は29万人減少し、一方で60才以上 が151万人も増加したという。

同時期の北海道・東北をみても、20~59才は 33万人減少し、「現役が減っている数は同じ」として、モノを買う現役世代の 減少が売上減に繋がったとの見方を示した。日本全体では、2000年時点の20~59才人口は7100万人だったが、2005年には6898万人へと約200万人減少。これがさらに2035年になると、3割減の4983万人まで減少することが見込まれているとし、国内の小売り販売は右肩下がりに減少していくことを示唆した。

ただし、旅行業の場合、時間と金のあるアクティブシニアが今後10年間でどんどん増えることが強みとし、「ゆっくりお金を使って旅行したいアクティブシニアや、マイカーでしか動かない団塊ジュニアのエージェントになれるか。 業者側の代理店ではなく、“お客様の代理店”になれるか」が明暗を分けるのではないかと予測した。

2008年2月18日月曜日

フレックス フェアとは?

JALグループ、IATA国際航空運賃の改定を申請

JALグループは、IATA※運賃調整会議での決議に基づき、日本発着IATA国際航空運賃の改定を本日国土交通省に申請した。
新運賃は日本および関係国政府の認可を条件に、2008年4月1日に日本を出発する旅程から適用となる予定。
※IATA=International Air Transport Association(国際航空運送協会)


日本―欧州間の国際線航空運賃は、IATA(国際航空運送協会)による運賃設 定が見直され、来年度より新たに各キャリア毎の運賃を平均化したフレックス フェアが導入される。また時を同じく下限(IATA-PEX運賃の30%)撤廃に伴う 国際航空運賃の自由化がスタート。日欧間の運賃体系は、今後大きく変化する ことが予想される。

フレックスフェアについて
(政府規制等と競争政策に関する研究会議事概要平成19年6 月1 日公正取引委員会)

○ フレックスフェアの基準となる運賃は何か。フレックスフェアが,キャリア運賃と同様の水準であるならば,基準運賃としての意味がなくなるのではないか。また,フレックスフェアに上乗せする「プレミアム」とは何か。
→ フレックスフェアは,各航空会社のキャリア運賃を集めて,これを平均化したものである。キャリア運賃は,必ずしもインターライニングを前提としていないものであるのに対して,IATAのフレックスフェアは,インターライニングを確保するためのものとしての意味がある。「プレミアム」とは,インターライニングの価値であり,欧州における「プレミアム」は,6%となっている。

日本=欧州間運賃策定方法の変更
IATA運賃はアジア=米州間、アジア=欧州間、アジア域内など地域ごとにIATA運賃参加航空会社が集まってIATA運賃調整会議で運賃及び規則を策定、変更している。この会議はIATA運賃の利便性や公益性に鑑み各国の独占禁止法(競争法)の適用とならない特別措置を受けて開催されている。

欧州競争法当局は、2007年10月をもって日本=欧州間をはじめとする欧州発着全路線の、IATA運賃調整会議に対する競争法適用除外措置撤廃を決定した。このため日本=欧州間のIATA運賃については、今回改定の運賃からIATA運賃調整会議に依らずに、各航空会社の運賃を基にIATAが機械的に算出するフレックスフェア方式に移行した。
注:フレックスフェア方式の概念
1)路線、クラスごとに各航空会社の最も高い運賃の平均を算出する。 2)連帯運送の価値として1)の平均額に10%を乗じた額を次年度のIATA運賃とする。

IATAビジニャーニ事務総長の見解(転載)

ビジニャーニ事務総長「外資規制よりもサービス」重視
IATA、空港民営化のカギは政府のガイドライン
(業界紙より抜粋)


IATA(国際航空運送協会)事務総長のジョバンニ・ビジニャーニ氏が来日、 2月14日に都内ホテルで講演を行った。

同氏は航空業界の中で、日本が主導的 立場を担うべき課題として空港民営化を取り上げ、現在進む成田空港の民営化 について「国土交通省と空港当局の連携により、世界最大の空港民営化が最も 成功した民営化となるよう期待したい」とコメント。

現在、日本政府内で議論 されている外資規制に>ついては「航空会社にとって、誰が空港を所有するのか よりも、空港がどんなサー>ビスを提供するかが重要」と指摘。また空港民営化 が成功するカギとして、政府によるガイドラインの必要性を訴えた。

ビジニャーニ氏は空港の効率的な運用を判断するための指標として、(1) 需要に対応した適切なキャパシティーの提供(2)利用者の期待に応えるサー ビスレベルの維持(3)効率性を反映した料金、の3つを列挙。成田空港の民営 化を「この3つの課題解決の絶好の機会」と捉える。

また「空港民営化で最も 重要な課題は、正しいインセンティブを与えること。政府が適切なガイドライ ンなしで貴重な設備を売却する民営化の失敗例をこれまで多く見てきた」と指 摘した。

同氏は具体的な「失敗例」としてロンドン・ヒースロー空港を紹介。同空港 を運営するBAAは2006年にスペインの建設会社フェロビアル社の傘下に入り、 現在42%もの高い利益率を誇る。

ビジニャーニ氏は「スペインの投資家は幸せ だが、ロンドンの利用者はターミナル施設に不便を強いられている。同じ失敗 を繰り返す必要はない」と説明。その上で「効果的かつ透明性が確保された規制(ガイドライン)は、投資家を含め全員の利益に適う」とその重要性を強調 する。

独立監視機関の必要性を指摘

またビジニャーニ氏は講演後の記者会見の中で、空港民営化の現状について 説明、「民営化は近年利益が出るビジネスとして活発化している」と答えた。 実際、空港運営は「50~60%の高い利益率を誇り、投資家からの関心が高まっ ている。航空会社の利益率が3-4%、高くて10%ということから考えても利益 率が非常に高い」状況にある。


その一方、同氏は「民間が空港業務に参入すれば、その企業は独占企業とな る。しっかりとした規制が必要」と指摘。さらに「政府が規制当局の役割を担うべきだが、国土交通省の傘下ではなく、独立した監視機関であるべき。航空 会社や利用者>に適切なサービスを提供し、株主に配当を与えることが重要だ」 と加えた。

ビジニャーニ氏は好例としてコペンハーゲン国際空港を紹介。同空港の運営 会社は、現在羽田空港を運営する日本空港ビルディングの筆頭株主でもある豪 マコーリー社が過半数を超える53%の株式を取得。

一方、免税店舗の数など、 施設が充実しており、航空会社や利用者のニーズに応える。空港セキュリティの共通化求める。日本の指紋採取に一定の評価、CUSSへの採用も

また、ビジニャーニ氏は、空港での保安体制について言及。「技術よりも調 和が>重要」と答え、空港セキュリティ体制の共通化が必要との判断を示す。同氏は「煩雑さや効率を考える上でテクノロジーを活用するのは必要不可 欠」と>しながらも、「『靴は脱ぐのか脱がないのか?』『ラップトップPCは鞄 の中、それ>とも取り出すのか?』『コートとベルトはどうするのか?』―各空 港が独自の方法を用いている。このようなシステムを利用者は信頼できるだろ うか」と問題提起する。

さらに、外国人入国者に対して指紋採取と画像撮影を義務づける日本の入国 管理システムについて、ビジニャーニ氏は実体験を踏まえながらこれを評価。 「法務省入国管理局と協議を行い、同システムのアジア太平洋地域への導入を 働きかけるよ>う求めた」と語った。

またビジニャーニ氏は、IATAで進めるCUSS(自動チェックイン機)の中にも 「指紋採取や画像撮影をCUSSで取り込むことで、搭乗券に取って代わることが できる。チェックインと入国審査、搭乗が共通化できるメリットがある」と延 べ、新たな展開の可能性を提案する。 

2008年2月16日土曜日

クルーズの進化


クルーズの新しいコンセプト「クラブシップ」


近年は「飛鳥Ⅱ」のワールドクルーズも良く売れて日本でもクルーズへの注目が高まってきた。幸い仕事と休暇とでここ10数年の間にカリブ海、太平洋、地中海などのクルーズを体験させていただいた。


既に退役したが、QEⅡには日本から香港までのクルーズを休暇で乗船した。さすがに格式のある船だと感じたが、デッキ毎にレストランなどのパブリックエリアも隔絶されている設計には「階級の隔絶」というイギリス社会のしきたりを見た気がした。


世界最高峰のラグジュアリークルーズ(シルバーシーやセブンシーズ)やカジュアル(プリンセスクルーズ等)は、乗船してみると、それぞれコンセプトが違い、客層も全く違っていることに驚いた。これはQEⅡのようなイギリスの階級社会とは違うものであるが、すでにクルーズにも格差社会があるのだということを見せつけられた。


今回、視察したAIDAという船は外見や規模からすると明らかにカジュアルクルーズだと思っていたが、内容が全く違うことに驚いた。


カジュアルクルーズは食事の2回制やデッキやエンタテイメントの座席も早い者勝ち、「大衆を合理的にコントロールする」という手法が現れている。

ここでは個人という概念はなく、サービスは<集団の流れ>という捉え方をされているように感じる。


一方でラグジュアリークルーズはクルーが乗客と同数かそれ以上配され、サービスも顧客名をすぐに覚えるほどに個別対応が重視されている。<個人の趣向>にまで目を向けるほどの気配りが必要とされる。同時にこのような船ではクルー各自の力量と全体の組織力が問われることにもなる。さらに乗客にドレスコードを設定して「外交的なプロトコル」として同一階級的な内向きのサロンを演出することが慣わしになっているがこれも悪いことではない。


さて、このAIDAは旅行好きのドイツ人が打ち出したコンセプトとして秀逸であると思う。2000人という乗客の船は今までであればカジュアルクルーズ以外にサービス体制の整備はできなかった。なぜならクルーを同数乗せるような規模ではないからだ。


工夫されているのはまず設計面で、パブリックスペースが従来の同規模の船よりもかなりゆとりを持たせてある。また配色やライティングにもかなり気をつかった造りになっていて<カジュアルで自由な雰囲気を確保しつつ、個人を埋没させない>という工夫が至る所になされているのだ。


この船は基本的にフリードリンク、フリーイーティングになっている。レストランが6つあるのだが、その内3つはフリーシート制。座席の設えも個人と個人のコミュニケーションが図れるような配置に気配りがなされている。2つのレストランは事前予約が必要で高くはないが有料になっている。少人数で静かに食事をとるエリアだ。さらにピッツァのエリアではいつでも気軽に軽食を食べることができる。Barは7箇所もあり、それぞれ異なったコンセプトである。さすがドイツの船だといわざるを得ない

2008年2月13日水曜日

「ターミナルも、滑走路と一体不可分」

鈴木航空局長、羽田・成田へ外資規制導入を強調  「ターミナルも、滑走路と一体不可分」

鈴木久泰航空局長は12日の専門紙との会見で、羽田空港の滑走路は国が保有 しており、仮にターミナルを運営する日本空港ビルデングに外資規制が導入さ れなくてもセキュリティーなどに問題は生じないのではないかなどの指摘がある中で、「ターミナルも、滑走路と一体不可分」(鈴木局長)とし、高度化し ている空港ビルに外資規制を導入していかなければ、万一にも空港が回らなく なることに懸念を>示した。

また、紛糾している空港整備法の改正については「政府内で調整中」とし て、見通しとして「いつ頃調整が完了するか、いまの段階ではわからない」と コメントした。

鈴木局長は「成田も羽田もかけがえのない財産」と述べており、外資規制導 入実>現に期待しているところだが、いまは政府内の調整を待つ姿勢だ。

一部閣僚を含めて与党内でも、成田空港会社や日本空港ビルデングなどとい った拠点空港への外資規制導入に反対する動きが見られ、結論が先送りされて いる。

発端となったのは、福田首相がダボス会議で外資による対内投資の積極 展開を呼び掛けたことにも起因しており、外資導入は拠点空港は別ものとして 外資規制導入を推進する側と、対内投資を積極的に行ってもらうことで日本の 経済を活性化すべき、と2極化の状態で議論が展開。ついには官房長官が中心 となって、政府内の調整を図る方向になっている。

この論議については自民党内でも意見が割れているが、私見としてはこんなことで日本の軸足が揺らいているような政治家は頼りないと感じてしまう。

日本は島国である。このことは日本人がもっと自覚しなければならない点だ。

ダボス会議での一時的なパフォーマンスのための対内投資の一貫に航空行政も「経済の活性化」の一環に位置付けるのはあまりに近視眼的だと思う。
当然外資規制をかけるべきだし、それは島国としての交通確保の要諦である。


また、羽田空港再拡張後の国内線発着枠の配分について鈴木局長は、学識者 やエアラインも含め、今年中に懇談会を立ち上げていく、との方針を示した。

今回の再拡張後の発着枠配分については、段階的に40.7万回に向けて発着枠が 増加していくかたちとなり、その段階的な増枠をどのようなかたちで踏んでい くか、更には管制の慣熟なども含めて検討していくことになる。
(上記抜粋転載)

アセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF)

 香港理工大学ホテル・観光経営学部長のケイ・チョン氏が、先ごろのアセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF)で、アジア・太平洋地域の格安航空会社(LCC)の動向を解説した。

このなかでチョン氏は、「アジア・太平洋地域のLCCは、引き続き地域の旅行需要の急速な拡大をもたらすだろう」とし、さらに「長距離路線や乗継便の提供、機内サービスの充実など、いわゆるLCCのビジネスモデルを超えていくことで、既存の大手フルサービス・キャリア(FSC)の市場シェアを奪っていく」との見方を示した。ただ、北東アジア地域は、東南アジア各国ほど航空自由化が進んでおらず、「離陸前の給油中」の状態という。 

講演でLCCを、「2地点間路線を運航し、従業員の運賃は業界平均よりも低く設定、機内サービスなどの付加サービスは全く、あるいはほとんど提供しない航空会社」と定義。運賃はFSCと比較して最大で50%の水準で、航空券の販売は主にウェブ経由という特徴を持つ。アジア・太平洋地域のLCCの傾向は、「ビジネスモデルの枠を超える動き」や、FSCが自社のLCCを設立する例が目立つという。また南アジアと東南アジアでは、機材の大型化が進んでいる。

このほか、LCC用のターミナル建設や、LCCのアライアンス形成などの動きもあり、「今後の成長機会になりうる」という分析だ。ただ、将来的に見ると、人材不足や環境税などの要因で伸び悩む可能性もあり得るという。 チョン氏は、アジア・太平洋地域内のLCCの現況説明に際し、東南アジアは「離陸後の上昇中」、南アジアは「離陸中」、オセアニアは「巡航中」、北東アジアは「離陸前」と表現。離陸中の南アジアでは、「今後、インドが世界最大のLCCのマーケットになる。世界全体のLCC市場の70%を占める可能性もある」と語った。
(上記抜粋転載)

2008年2月2日土曜日

LCCの跳梁跋扈


LCCの跳梁跋扈
と書くと、LCC(ローコストキャリアが悪者のようになってしまうがそういう意味ではありません。)

バルセロナ空港を昼過ぎに出発するAirEuropaに乗って2時間。Lanzarote島に着いた。普通の人々が気楽にリゾートに来る、といった感じの乗客で空席もかなり目立つ。


バルセロナ空港で驚いたのは<ベルリンまで往復9ユーロ!>という大きな広告看板。AirBerlinのものだが、滑走路周辺には見たことがないエアラインが沢山駐機している。どれもLCCだ。


「最近バルセロナは観光客で年中混雑するようになった」と現地の方が言っていた。それもヨーロッパ各国からLCCを利用して手軽に旅行ができるようになったからだ。ロンドンまで1セントという信じられない料金もあるそうだが、これは勿論話題づくりのためだろう。「ベルリンまで往復12ユーロ。3家族で旅行しました。」と彼女は言っていた。EU圏内は本当に国内のようになってきた。


破格の低価格シートは限定された数のようだがこれでコストを回収できるのだろうか。
僕の乗ったエアーヨーロッパは快適だった。機内食も有料で赤ワインとバゲットで8ユーロ。サービスも普通だし、機内食が有料なのも合理的に思えた。欲しい人が有料でサービスを受けることでクルーの仕事も潤滑に運ぶし、何よりも軽食ではあるが、メニューから選ぶことができる。


日本は島国なので空と海の交通は必須だが、国際情勢からみてLCCの攻勢から逃れるのはむずかしいように思える。他のアジアの国の空港がハブとなってしまう可能性が大きいからだ。今回出張したカナリア諸島やクロアチアの田舎にも<コードシェア>で同じフライトに3つもキャリア名が入っていた。つまりアライアンス運賃で多数の航空会社で発券することが可能になっているのだ。同じ状況が日本にも押し寄せて来ている。日本として、オープンスカイ構想の戦略が具体的に見えないのは政治に問題があるのだと思うが、民間への規制緩和だけでなく「道筋」を示さなければならない時期だと思う。


JLやNHは国内で高速化する新幹線との価格競争を抱え、これからの企業運営には厳しいものがあるが、日本流のサービスは世界でトップクラスだと感じるし、それこそがグローバルスタンダードの中で生き残るためのポイントになるのではないかと思う。Visit Japanのヴィジョンとともに空の道もインフラ造りが必要だ。しかも急務である。羽田や成田の増枠だけを議論している場合ではない