2008年2月18日月曜日

IATAビジニャーニ事務総長の見解(転載)

ビジニャーニ事務総長「外資規制よりもサービス」重視
IATA、空港民営化のカギは政府のガイドライン
(業界紙より抜粋)


IATA(国際航空運送協会)事務総長のジョバンニ・ビジニャーニ氏が来日、 2月14日に都内ホテルで講演を行った。

同氏は航空業界の中で、日本が主導的 立場を担うべき課題として空港民営化を取り上げ、現在進む成田空港の民営化 について「国土交通省と空港当局の連携により、世界最大の空港民営化が最も 成功した民営化となるよう期待したい」とコメント。

現在、日本政府内で議論 されている外資規制に>ついては「航空会社にとって、誰が空港を所有するのか よりも、空港がどんなサー>ビスを提供するかが重要」と指摘。また空港民営化 が成功するカギとして、政府によるガイドラインの必要性を訴えた。

ビジニャーニ氏は空港の効率的な運用を判断するための指標として、(1) 需要に対応した適切なキャパシティーの提供(2)利用者の期待に応えるサー ビスレベルの維持(3)効率性を反映した料金、の3つを列挙。成田空港の民営 化を「この3つの課題解決の絶好の機会」と捉える。

また「空港民営化で最も 重要な課題は、正しいインセンティブを与えること。政府が適切なガイドライ ンなしで貴重な設備を売却する民営化の失敗例をこれまで多く見てきた」と指 摘した。

同氏は具体的な「失敗例」としてロンドン・ヒースロー空港を紹介。同空港 を運営するBAAは2006年にスペインの建設会社フェロビアル社の傘下に入り、 現在42%もの高い利益率を誇る。

ビジニャーニ氏は「スペインの投資家は幸せ だが、ロンドンの利用者はターミナル施設に不便を強いられている。同じ失敗 を繰り返す必要はない」と説明。その上で「効果的かつ透明性が確保された規制(ガイドライン)は、投資家を含め全員の利益に適う」とその重要性を強調 する。

独立監視機関の必要性を指摘

またビジニャーニ氏は講演後の記者会見の中で、空港民営化の現状について 説明、「民営化は近年利益が出るビジネスとして活発化している」と答えた。 実際、空港運営は「50~60%の高い利益率を誇り、投資家からの関心が高まっ ている。航空会社の利益率が3-4%、高くて10%ということから考えても利益 率が非常に高い」状況にある。


その一方、同氏は「民間が空港業務に参入すれば、その企業は独占企業とな る。しっかりとした規制が必要」と指摘。さらに「政府が規制当局の役割を担うべきだが、国土交通省の傘下ではなく、独立した監視機関であるべき。航空 会社や利用者>に適切なサービスを提供し、株主に配当を与えることが重要だ」 と加えた。

ビジニャーニ氏は好例としてコペンハーゲン国際空港を紹介。同空港の運営 会社は、現在羽田空港を運営する日本空港ビルディングの筆頭株主でもある豪 マコーリー社が過半数を超える53%の株式を取得。

一方、免税店舗の数など、 施設が充実しており、航空会社や利用者のニーズに応える。空港セキュリティの共通化求める。日本の指紋採取に一定の評価、CUSSへの採用も

また、ビジニャーニ氏は、空港での保安体制について言及。「技術よりも調 和が>重要」と答え、空港セキュリティ体制の共通化が必要との判断を示す。同氏は「煩雑さや効率を考える上でテクノロジーを活用するのは必要不可 欠」と>しながらも、「『靴は脱ぐのか脱がないのか?』『ラップトップPCは鞄 の中、それ>とも取り出すのか?』『コートとベルトはどうするのか?』―各空 港が独自の方法を用いている。このようなシステムを利用者は信頼できるだろ うか」と問題提起する。

さらに、外国人入国者に対して指紋採取と画像撮影を義務づける日本の入国 管理システムについて、ビジニャーニ氏は実体験を踏まえながらこれを評価。 「法務省入国管理局と協議を行い、同システムのアジア太平洋地域への導入を 働きかけるよ>う求めた」と語った。

またビジニャーニ氏は、IATAで進めるCUSS(自動チェックイン機)の中にも 「指紋採取や画像撮影をCUSSで取り込むことで、搭乗券に取って代わることが できる。チェックインと入国審査、搭乗が共通化できるメリットがある」と延 べ、新たな展開の可能性を提案する。 

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