2008年2月16日土曜日

クルーズの進化


クルーズの新しいコンセプト「クラブシップ」


近年は「飛鳥Ⅱ」のワールドクルーズも良く売れて日本でもクルーズへの注目が高まってきた。幸い仕事と休暇とでここ10数年の間にカリブ海、太平洋、地中海などのクルーズを体験させていただいた。


既に退役したが、QEⅡには日本から香港までのクルーズを休暇で乗船した。さすがに格式のある船だと感じたが、デッキ毎にレストランなどのパブリックエリアも隔絶されている設計には「階級の隔絶」というイギリス社会のしきたりを見た気がした。


世界最高峰のラグジュアリークルーズ(シルバーシーやセブンシーズ)やカジュアル(プリンセスクルーズ等)は、乗船してみると、それぞれコンセプトが違い、客層も全く違っていることに驚いた。これはQEⅡのようなイギリスの階級社会とは違うものであるが、すでにクルーズにも格差社会があるのだということを見せつけられた。


今回、視察したAIDAという船は外見や規模からすると明らかにカジュアルクルーズだと思っていたが、内容が全く違うことに驚いた。


カジュアルクルーズは食事の2回制やデッキやエンタテイメントの座席も早い者勝ち、「大衆を合理的にコントロールする」という手法が現れている。

ここでは個人という概念はなく、サービスは<集団の流れ>という捉え方をされているように感じる。


一方でラグジュアリークルーズはクルーが乗客と同数かそれ以上配され、サービスも顧客名をすぐに覚えるほどに個別対応が重視されている。<個人の趣向>にまで目を向けるほどの気配りが必要とされる。同時にこのような船ではクルー各自の力量と全体の組織力が問われることにもなる。さらに乗客にドレスコードを設定して「外交的なプロトコル」として同一階級的な内向きのサロンを演出することが慣わしになっているがこれも悪いことではない。


さて、このAIDAは旅行好きのドイツ人が打ち出したコンセプトとして秀逸であると思う。2000人という乗客の船は今までであればカジュアルクルーズ以外にサービス体制の整備はできなかった。なぜならクルーを同数乗せるような規模ではないからだ。


工夫されているのはまず設計面で、パブリックスペースが従来の同規模の船よりもかなりゆとりを持たせてある。また配色やライティングにもかなり気をつかった造りになっていて<カジュアルで自由な雰囲気を確保しつつ、個人を埋没させない>という工夫が至る所になされているのだ。


この船は基本的にフリードリンク、フリーイーティングになっている。レストランが6つあるのだが、その内3つはフリーシート制。座席の設えも個人と個人のコミュニケーションが図れるような配置に気配りがなされている。2つのレストランは事前予約が必要で高くはないが有料になっている。少人数で静かに食事をとるエリアだ。さらにピッツァのエリアではいつでも気軽に軽食を食べることができる。Barは7箇所もあり、それぞれ異なったコンセプトである。さすがドイツの船だといわざるを得ない

0 件のコメント: