2010年の羽田、成田の首都圏空港の発着枠の増加にともなう供給座席の増加が見込まれるなか、航空会社と旅行会社が互いにリスクをシェアする時代になるとの考え方が示された。
阪急交通社東日本営業本部仕入部部長の木村貞則氏は、IT運賃は残るのではないかという私見を示しつつ、「今後、2、3年でIT運賃では年間の買取、または半年、日毎の買取という形態も現れてくる」との可能性を示した。
また、ANAセールス取締役会長の北林克比古氏は、航空会社同士の競争が激化するのがオープンスカイの時代とし、航空会社が旅行会社に提供するアロットについて「未使用の座席を(旅行会社は)ノーリスクで返還する。これを(航空会社が)負担することがだんだん難しくなってくる。旅行会社と航空会社が、(リスクを)シェアするものになる」との予想を示した。
日本航空インターナショナル執行役員の山口栄一氏は、今後の路線展開について日本企業の生産拠点が海外に移りつつある動きにあわせ、路線を張るとの考えを示しつつ、「昨年末からのデリー線をデイリー運航に増便した。ビジネス需要もあるが、インドの観光需要はこれから。ここは(旅行会社に)取り組んでいただきたいし、一緒にやっていきたい」とし、協調を求める。
また、ノースウエスト航空日本地区営業本部長の伊藤正彰氏は「(消費者の)ニーズ多様化する中、各種のルールが現在の消費動向と一致していない。ピーク時に二重三重の予約があり、座席が有効に活用されていない。JATAなどで制度の見直しも視野にいれ、確実に(需要を)取り込める環境をつくるべき」などと語り、旅行会社と航空会社が二人三脚で取り組む課題もあると指摘した。
阪急・木村氏は、「空港容量が125%でも機材が777、 787化で85>%、供給量は100%前後、2010年の2000万人はきつい」とする中で、 「航空会社が決めた運賃を(旅行会社が)もらう形になり、料金も多様化す る」とし、旅行会社としては「企画力、個人営業力で価値競争に進むのではな いか」と述べた。
JAL山口氏は「日本企業が販売拠点を海外に移行する中で、路線はBRICsが増 え、ベトナム、中東なども注目される。業務需要が先で観光が後から着いてく ることを考えると、デリー路線などの観光需要を(旅行会社と)一緒に取り組 みたい。観光だけの路線は採算が取れない」と述べた。
また、山口氏は航空会社の直販化について、「国内は個札の40%、全体の 30%が>直販、BtoCは世の中の流れだが、国際はビザや乗り継ぎなどもあり、こ こは旅行会社にやってもらいたい」と述べた。
ANAS北林氏は「座席アロットで未使用の座席を(旅行会社が)ノーリスクで 返還することは、キャリアはリスク負担から今後は難しい」と述べ、旅行会社 と航空会社がリスク・シェアする仕組み作りの必要性を指摘した。
阪急・木村氏はITのリスク・シェアについて、「年間、半年、デイリーの買 い取りなどでIT座席を残せるだろうが、PEXは直販で販売される。メーカーと 商社の関係>が考えれば、メーカー(航空会社)が決めた以上、(旅行会社は) 従うしかない。>IT座席をどのように買い取り、企画力で売り抜けるか。リピー ターを獲得すれば勝>ち抜ける。そこで(旅行会社が)淘汰される」と予測し た。
その上で木村氏は「価格だけで勝負する時代は終わった。(航空会社も)数 のインセンティブをやめることだ」と述べた。
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